World Review

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中国「一帯一路」の次なる標的 マレーシア高速鉄道計画

小堀晋一のアジアリポート 
 マレーシアのマハティール政権が、一度は中止を言明したはずの高速鉄道「マレーシア東海岸鉄道」の再着手を決めて間もなく2カ月。総事業費を短縮することができたためと説明するものの、合弁相手であった中国側からの猛烈な巻き返しがあったことは想像に難くない。地元に落ちる仕事も確保できたとして、同様に中国との高速鉄道事業で蝕まれる一方のラオスの二の舞ではないことを強調する。だが、国内では先住民であるマレー系と中国から渡ってきた中華系との二つの巨大勢力がめぎ合いを続けており、事業復活がマレー人優先策「ブミプトラ政策」を維持する政権のアキレス腱となる可能性については意外なほどに言及されていない。同政権は今後、内と外とのチャイナパワーの脅威にさらされることになる。(ジャーナリスト 在バンコク 小堀晋一)


米朝首脳、38度線で会談へ

 大阪開催のG20参加後に訪韓するトランプ米大統領が38度線の非武装地帯を訪問する準備を進めており、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)の金正恩朝鮮労働党委員長と非武装地帯で会談する可能性が強まってきたという。複数の外交筋が明らかにした(World Review 編集長 松野仁貞)


浮上する新たな火種、タイの世継ぎ問題

 2019年6月3日月曜日。タイの多く人たちは、その日が突然の休日となった本当の理由をよく理解できないまま、土曜日からの3連休を手持ち無沙汰に過ごしていた。カレンダーの「6月3日」を示す数字の色は、いつもの平日と変わらない黒色。祝祭日を表す赤色の丸印などもなく、年当初にはなかった予定が唐突に組まれたことを示していた。そして、その舞台裏を丹念にたどっていくと、単に休日が増えただけにとどまらない、タイの政治の将来を占う激しい神経戦の様相が浮き彫りとなってくるのであった。(World Review 編集部)


米国防総省、台湾を「国家」と表記

【松野仁貞のワールドリポート】米国防総省は、6月1日に公表した 「インド太平洋戦略報告書」 の中で、台湾についてインド太平洋地域の米国の主要なパートナーの一つとして「国家(country)」と明記した。米中国交正常化(1979年)以降、米政府が維持してきた「一つの中国(one china)」政策からの歴史的転換。台湾の国家承認含みの動きは、関係が悪化する中国に対する牽制との見方が強いが、日本の主要メディアが無関心な中で、6月末のG20を控えて米国・台湾と中国の水面下の動きが激しさを増している。(World Review 編集長 松野仁貞)


『半分の民主主義』と呼ぶ「功」と「罪」

【小堀晋一のアジアリポート】8年ぶりの総選挙が実施されたタイで新たな「民選」の政権が発足し、5年余り続いた軍による暫定政権が終わりを告げようとしている。6月中にも組閣を終え本格始動するが、軍の強い影響力を残したままで「民選」の言葉が霞んで見える。タイはこの20年間、同じ歴史を繰り返すばかりであった。選挙は実施されるのだが、やがて政治は行き詰まり、軍の介入する事態に。21世紀にもなって、かくも民主主義が定着しないのはなぜなのか。それを考察した時、安易にも「半分の民主主義」「タイ式民主主義」などという言葉を使ってお茶を濁し、正面から向き合うことを避けてきた我々の、無知と臆面もない厚顔ぶりに突き当たるのである。(ジャーナリスト 在バンコク 小堀晋一)


米国の「自演」と日本の「道化」

中東ホルムズ海峡付近で日本の海運会社のタンカーなど2隻が攻撃されたことに関して、複数の国際軍事筋は「米国の謀略。自作自演の可能性が極めて高い」との見方を示した。同筋は、「謀略を主導したのは『悪魔の化身』と評されるボルトン国家安全保障問題担当補佐官で、道化役を演じたのが安倍晋三首相」と語った。(World Review 編集長 松野仁貞)


米政権に巣喰う「悪魔の化身」

【松野仁貞のワールドリポート】対北朝鮮、対イランで強硬路線を打ち出している米国。トランプ政権の中枢で「悪魔の化身」と呼ばれる男がうごめいている。イラク侵攻の黒幕だったとされるこの男は、広島・長崎への原爆投下について「軍事的だけでなく道徳的にも正しかった」と言い放った人物。北朝鮮やイランへの先制攻撃を広言してはばからない。共和党主流派・軍産複合体の思惑をバックにトランプ大統領とも対峙する姿勢をみせ始めた。(World Review編集長 松野仁貞)


プレム枢密院議長が残したもの~流動化するタイの政治~

【小堀晋一のアジアリポート】タイのプレム・チンスラノン枢密院議長が26日、心不全のため死去した。98歳の大往生だった。1980年代に陸軍司令官のまま首相に就任し、故プミポン国王の信頼を背景に退任後は枢密顧問官へ。98年からは議長の職にあった。枢密院は憲法上、国王個人の諮問機関。だが、強い王権の残るタイにおいては奏上のための唯一のルートとなっており、院の意向が国王の意向とみなされてきた。そのトップが代わるということは何を意味するのか。


現職vs「台湾のトランプ」-熱渦台湾総統選

来年1月に予定されている台湾の総統選が混迷の度を深めると共に白熱化している。台湾独立を目指す現職に対して野党からは親中国派とされ「台湾のトランプ」ともいわれる候補が名乗りを上げた。与党内では現職に対抗して有力候補が立候補を表明しており候補の一本化が大きくずれ込んでいる。対中路線を大きな軸に激しいせめぎ合いが続く台湾総統選を展望する。(World Review 編集長 松野仁貞)



混迷の度を深めるタイ民主党に再起はあるのか

【小堀晋一のアジアリポート】8年ぶりとなるタイの総選挙結果を受けて、同国最古の政党である民主党が存続の危機に瀕している。2000年代以降タクシン派最大のライバルの地位にあったのが、獲得議席は前回選挙から107議席減のわずか52議席にとどまった(未確定の2議席を除く。5月20日現在。以下同)。タクシン派のタイ貢献党(136議席)、親軍政党の国民国家の力党(115)、新党の新未来党(80)の後塵を拝し第4党にまで勢力を落とす結果に、衝撃を受けた有権者も少なくない。あまりの惨敗ぶりに元首相のアピシット党首は即時辞任。後任には紆余曲折の末にジュリン・ラクサナウィシット党首代行が就いたものの、親軍政権に参画するか否かで党内は分裂模様だ。そこには、同党が抱える構造的な問題がある。



内陸国ラオス蝕む中国の「一帯一路」

【小堀晋一のアジアリポート】中国の一帯一路の勢いが止まらない。開発資金を融資することで援助国を借金漬けにする手法が国際的な非難を浴びているものの、そんな批判はどこ吹く風。次なるターゲットを見つけようと水面下で着々と画策を続けているというのが大方の見方だ。例えばそれは、隣国ラオスで進める開発事例にも見ることができる。同国から南にタイを経由してマレーシア西岸に至る国際高速鉄道網構想。突貫工事で既成事実を積み重ねる手法は、東南アジアからインド洋一帯の制覇を目論む野望とさえ映る。地元住民そっちのけ、ラオスの将来を蝕む現状を現地からリポートする。




新元号「令和」の実相

平和憲法を遵守して国民を再び戦禍に巻き込むまいとする天皇家の強い思いとそれに逆行する安倍晋三首相の政治スタンス。新元号「令和」制定の背景には、身を挺して平和日本と国民を護ろうとした天皇家と安倍晋三首相との間で激しい水面下の攻防があったことが関係者の話で明らかになった。新元号「令和」の実相をレポートする(World Review 編集長 松野仁貞)




SNSで伝わったタイ元王女の擁立劇。「ジャスティン」は知っていたのか。

その「ニュース」がソーシャルネットワーキングサービス(SNS)を経由してタイの若者の間で拡散を始めたのは、2019年2月7日夕方のことだった。3月24日に予定された8年ぶりの下院総選挙を前に、出馬する各党が推す首相候補を届け出る受付最終日の前夜だった。
「タクシン派がウボンラット元王女を擁立するらしい」
「よく、ジャスティンも了解したね」
 若者の書き込みは、やがてジャスティンという謎の人物の評価に移り変わっていく。
「姉だから、言い含められたんじゃないの」
「事態の重大さが分からなかったのかなぁ」
 トーンは次第にヒートアップ。そのうちに、とうとう本人たちの写真が情報に添えられて出回るようになった。3年前に逝去した故プミポン国王の長女ウボンラット元王女とともに映っていたのは、5月4日に戴冠式を迎えるラーマ10世。前国王の長男で同元王女の弟ワチラロンコン国王だった。